操り人形雑記
ジャンプ萌えとかアニメ萌えとかネタバレとか妄想とか日常とか。
2006
April 01
April 01
『結婚しました。』
「……嘘だろ?」
郵便ポストから引っ張り出した葉書の束を引っ繰り返して、一番下に書かれたそのシンプルな文面に、サンジは思わず己の目を疑った。
そのすぐ下に連名で書かれた内の一つは、何度見返しても自分の友人のもので。もう一つは、透かしてみても振ってみても、仲間内でマドンナと呼ばれる存在のそれである。
もう一度だけ見直してから、サンジは部屋の中でがあがあと鼾を掻いているゾロを蹴り起こした。
「なあなあなあゾロ! 起きろ、大事件だ!」
「……喚くなヒヨコ頭。」
『俺にとって2時までは朝だ』と豪語する(流石に休日だけではあるが)ゾロにとっては、まだ深夜とも言える時間帯だ。起き抜けなのも手伝って剣呑な目をものともせず、サンジは件の葉書を突き出した。
「ウソップが! あのカヤ嬢と! 結婚するってよ!!!」
「……何だと?」
日の光を嫌うように閉じかけだった瞳が、少しだけ押し開かれる。確かにこれは、大事件だった。
* * *
「……んあ? おかしくねぇか?」
ふと、ゾロが葉書に手を伸ばした。首を傾げつつサンジが手渡すと、ゾロは文面に指を這わせた。
「式の日程とか場所とか、普通書くもんじゃねえ? 『します』って報告だけ送ってくるなんてあるか?」
「……そう言えば」
サンジも、もう覚えてしまったその白い紙面に目を落とした。
言われてしまうと、見れば見るほどおかしく思えてくる。そうだ、相手はあのウソップだった。
「電話して、確認してみようぜ」
だんだんと険悪になる眼のまま、サンジはケータイを取り出してウソップの番号を呼び出した。
「……あ、ウソップか? なァ、テメエあの葉書マジか?」
いきなり矢継ぎばやに繰り出したサンジと傍にいたゾロの耳に、ふっふっふと怪しげな声が聞こえてきた。そう、まるで学生時代、下らない悪戯を仕掛けては漏らしていたのと同じように。
『嘘だーーーーーーッ!』
あっはっはっはっは! と高らかな笑い声をバックに、もう何を言う気力も失せた二人はがっくりと肩を落とした。
「「やられた……」」
未だめくられていないカレンダーが、月が変わったばかりの今日に日付をそっと告げていた。
* * *
『今日じゃなかったら許されねーぞ、こンの嘘吐き野郎!』
「光栄じゃねえか。ま、この俺様の華麗な嘘に担がれたからってそう怒るなよ~」
『ったく……。じゃあいい、またな』
「おう! ゾロにもよろしく言っといてくれ!」
どうせそこにいるんだろ? というと、聞こえたらしくドタバタと物音の中で電話が切られた。ニヤニヤしつつ受話器を置くと、傍らから声が掛かる。
「いいの? 本当のことを言わなくても……」
「なぁに、明日また本当の招待状を送るのさ♪」
楽しげに返すウソップだが、手元を見れば宛名書きで夜を明かしたのが明らかだ。妙なところで真面目な、そんなところもやはり彼らしい、とカヤは微笑んで珈琲を手渡した。
「もう、ウソップさんたら。」
結局そう言って笑ってしまったカヤに向かって、ウソップは疲れを感じさせない最高の笑顔を見せた。
「あいつ等、きっと驚くぜーー?」
朝の光の中で、山と積まれた純白の招待状たちが、きらきらと静かに光っていた。
End.
「……嘘だろ?」
郵便ポストから引っ張り出した葉書の束を引っ繰り返して、一番下に書かれたそのシンプルな文面に、サンジは思わず己の目を疑った。
そのすぐ下に連名で書かれた内の一つは、何度見返しても自分の友人のもので。もう一つは、透かしてみても振ってみても、仲間内でマドンナと呼ばれる存在のそれである。
もう一度だけ見直してから、サンジは部屋の中でがあがあと鼾を掻いているゾロを蹴り起こした。
「なあなあなあゾロ! 起きろ、大事件だ!」
「……喚くなヒヨコ頭。」
『俺にとって2時までは朝だ』と豪語する(流石に休日だけではあるが)ゾロにとっては、まだ深夜とも言える時間帯だ。起き抜けなのも手伝って剣呑な目をものともせず、サンジは件の葉書を突き出した。
「ウソップが! あのカヤ嬢と! 結婚するってよ!!!」
「……何だと?」
日の光を嫌うように閉じかけだった瞳が、少しだけ押し開かれる。確かにこれは、大事件だった。
* * *
「……んあ? おかしくねぇか?」
ふと、ゾロが葉書に手を伸ばした。首を傾げつつサンジが手渡すと、ゾロは文面に指を這わせた。
「式の日程とか場所とか、普通書くもんじゃねえ? 『します』って報告だけ送ってくるなんてあるか?」
「……そう言えば」
サンジも、もう覚えてしまったその白い紙面に目を落とした。
言われてしまうと、見れば見るほどおかしく思えてくる。そうだ、相手はあのウソップだった。
「電話して、確認してみようぜ」
だんだんと険悪になる眼のまま、サンジはケータイを取り出してウソップの番号を呼び出した。
「……あ、ウソップか? なァ、テメエあの葉書マジか?」
いきなり矢継ぎばやに繰り出したサンジと傍にいたゾロの耳に、ふっふっふと怪しげな声が聞こえてきた。そう、まるで学生時代、下らない悪戯を仕掛けては漏らしていたのと同じように。
『嘘だーーーーーーッ!』
あっはっはっはっは! と高らかな笑い声をバックに、もう何を言う気力も失せた二人はがっくりと肩を落とした。
「「やられた……」」
未だめくられていないカレンダーが、月が変わったばかりの今日に日付をそっと告げていた。
* * *
『今日じゃなかったら許されねーぞ、こンの嘘吐き野郎!』
「光栄じゃねえか。ま、この俺様の華麗な嘘に担がれたからってそう怒るなよ~」
『ったく……。じゃあいい、またな』
「おう! ゾロにもよろしく言っといてくれ!」
どうせそこにいるんだろ? というと、聞こえたらしくドタバタと物音の中で電話が切られた。ニヤニヤしつつ受話器を置くと、傍らから声が掛かる。
「いいの? 本当のことを言わなくても……」
「なぁに、明日また本当の招待状を送るのさ♪」
楽しげに返すウソップだが、手元を見れば宛名書きで夜を明かしたのが明らかだ。妙なところで真面目な、そんなところもやはり彼らしい、とカヤは微笑んで珈琲を手渡した。
「もう、ウソップさんたら。」
結局そう言って笑ってしまったカヤに向かって、ウソップは疲れを感じさせない最高の笑顔を見せた。
「あいつ等、きっと驚くぜーー?」
朝の光の中で、山と積まれた純白の招待状たちが、きらきらと静かに光っていた。
End.
はい、ウソ誕小話でした。意外と長くなった(笑)。
ウソップ楽しそうですが袋叩き確実。ナミさんとかも見事に騙されてくれるといいよ。
ウソップ主役なのにサンゾロが出張っている……や、ゾロサンかも知れん(決めてない)。そしてもしウソカヤ嫌いな方がいらしたら申し訳ないです……。
しかしウソカヤをわざわざ嫌いだという方を見たことがないです。特に嫌われないんじゃないでしょうか。私もウソ絡み他カプで萌えるのも嫌いなのもあるけど、カヤちゃんは結構好きなほうなんです。芯のしっかりしたお嬢様かつウソップにメロメロなんて、可愛すぎる。
何とか間に合ってよかったー。改めて、ウソップおめでとう!! 実は大好き!
……タイトルをつけるとしたら『エイプリルフール・ブライド』かな?(笑) 結婚してないですけどね、当日には。
ウソップ楽しそうですが袋叩き確実。ナミさんとかも見事に騙されてくれるといいよ。
ウソップ主役なのにサンゾロが出張っている……や、ゾロサンかも知れん(決めてない)。そしてもしウソカヤ嫌いな方がいらしたら申し訳ないです……。
しかしウソカヤをわざわざ嫌いだという方を見たことがないです。特に嫌われないんじゃないでしょうか。私もウソ絡み他カプで萌えるのも嫌いなのもあるけど、カヤちゃんは結構好きなほうなんです。芯のしっかりしたお嬢様かつウソップにメロメロなんて、可愛すぎる。
何とか間に合ってよかったー。改めて、ウソップおめでとう!! 実は大好き!
……タイトルをつけるとしたら『エイプリルフール・ブライド』かな?(笑) 結婚してないですけどね、当日には。
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