操り人形雑記
ジャンプ萌えとかアニメ萌えとかネタバレとか妄想とか日常とか。
2006
November 13
November 13
とにもかくにもゾロ誕です! あーWJ叫びたいなぁっ……格好良すぎる!
「あれ? お前、出掛けるの?」
着いたばかりの宿の部屋からさっさと出ていこうとするゾロに、サンジは慌てて声を掛けた。
「何だよ、メシは夜だろうが。」
喧嘩腰というよりはただ不思議そうに首を捻ったゾロが見やると、サンジはわたわたと手を振った。
「や、何でもねぇ! ……けどテメェ、迷うぞ?」
「迷わねえよッ!」
今度こそ噛み付いたゾロが苦い顔で視線を向けた先には、
「……ナミさん。と、ロビンちゃん。」
「アイツらの荷物持ちだ。」
どこかぼんやりと呟いたサンジに、美女二人は笑顔で軽く手を振ってみせた。
「コイツ、ウソップとジャンケンして負けたのよ。」
「ちょっとお借りするわね、料理人さん。」
「いえいえッ、用なんて無いですよこんな海でも陸でもぐうたらしてる寝太郎なんぞに! ただどうして僕じゃないのかなぁっと……でも、」
「負けたんなら、仕方ねえよな。」
へッ、とわざとらしく頬を歪めてみせたサンジに苦笑して、抜刀しかけたゾロの首根っ子を引っ掴むと。
「じゃ、またディナーの時にv」
悠然と笑んで、美女二人は街へと繰り出していった。
* * *
分かっていた。
あの、才色兼備な女性二人が、サンジの考えていることなどとっくにお見通しなのだと。
それで協力してくれるつもりで、準備の為の時間を稼いでくれたことだって。
けれど今日だけは。
何も言えなくても、せめて、傍にいたい、なんて。
普段なら過ぎた願いも少しだけ、許してほしい、と思っていたのだけれど。
仕方がないので、部屋に付いている簡素なキッチン(これの為にここにしたのだ)で船から持ってきた食材を広げて、温めるだけの状態にしておく。早く温めても冷めるだけ、というより馬鹿船長が釣れるだけなので、一応少し物陰に隠してから、少し外を見て回ることにした。
そう大きくもない、漁業ベースの島だった。中心部の繁華街もどこかのんびりとしていて微笑ましい。食材は鮮度がいいのが売りなのだろう、加工していない物が多かった。保存するには船できっちり手を掛けねばならないだろう。サンジはそんな作業も好きだったがしかし普通の主婦はどうするのだろう、と思い尋ねてみると、伝統的な漬物を教えてくれた。どの家にもそれぞれのやり方があるために、店でどうこうしない方が良いのだそうだ。
あっさりしているが深い味わいは、以前にゾロが美味そうにしていた種類の漬物に似ていた。作ったら喜ぶだろうかと、想像するだけでほっこりとした気持ちと同時に少し顔が熱くなる。
とりあえず今日食べる分を買い、雑貨などを扱う店の並ぶ方へと足を伸ばす。補給用はまた今度、ここを発つ前日だ。
サンジが外出した目的は、食材の下見だけではない。むしろこっちがメインなのだが、――ゾロの、プレゼントを探さねばならない。
(とはいえ、あげるったって何を……)
どうにも思いつかない。どうにも思いつかない。可愛い女の子相手ならいざ知らず。
例えば、定番、といってサンジの頭に思い浮かぶのは、
(花束……?)
あの男に、花束。
嫌がらせである。
かといって、他に何を思い付くでもない。
(刀……いや無理だ、下手に口出せねぇし。ピアス……って、アイツ頓着しなさそうだしな。腹巻にジジシャツは、そもそも売ってるのかどうかも怪しい……少なくとも、俺は見たことねェ。)
そんなものを渡すならいっそ、もっと良い服を贈りたいくらいだ。本人が妙にあの格好を気に入っている以上、出番はほとんどないだろうけれど。
そして貧困なサンジの脳はもうネタ切れだ。あまりに情けない、と思う。
仮にもこんなに想う相手のことを、こんなに、知らないなんて。
落ち込みつつ適当に通りを流し見ていた。その時。
「……へェ。」
ふと目に留まったあるものに、サンジは惹き寄せられるように近付いた。
微かに残った頭の隅で冷静に考えれば、大層なものでもなかったのだけれど。
(これ、)
(これだ。)
納得ではなく、降って湧いた直感。
それだけだったが、サンジは値段を確かめもせずに言われた額を支払い、気付くと荷物を抱えて店を出ていた。
着いたばかりの宿の部屋からさっさと出ていこうとするゾロに、サンジは慌てて声を掛けた。
「何だよ、メシは夜だろうが。」
喧嘩腰というよりはただ不思議そうに首を捻ったゾロが見やると、サンジはわたわたと手を振った。
「や、何でもねぇ! ……けどテメェ、迷うぞ?」
「迷わねえよッ!」
今度こそ噛み付いたゾロが苦い顔で視線を向けた先には、
「……ナミさん。と、ロビンちゃん。」
「アイツらの荷物持ちだ。」
どこかぼんやりと呟いたサンジに、美女二人は笑顔で軽く手を振ってみせた。
「コイツ、ウソップとジャンケンして負けたのよ。」
「ちょっとお借りするわね、料理人さん。」
「いえいえッ、用なんて無いですよこんな海でも陸でもぐうたらしてる寝太郎なんぞに! ただどうして僕じゃないのかなぁっと……でも、」
「負けたんなら、仕方ねえよな。」
へッ、とわざとらしく頬を歪めてみせたサンジに苦笑して、抜刀しかけたゾロの首根っ子を引っ掴むと。
「じゃ、またディナーの時にv」
悠然と笑んで、美女二人は街へと繰り出していった。
* * *
分かっていた。
あの、才色兼備な女性二人が、サンジの考えていることなどとっくにお見通しなのだと。
それで協力してくれるつもりで、準備の為の時間を稼いでくれたことだって。
けれど今日だけは。
何も言えなくても、せめて、傍にいたい、なんて。
普段なら過ぎた願いも少しだけ、許してほしい、と思っていたのだけれど。
仕方がないので、部屋に付いている簡素なキッチン(これの為にここにしたのだ)で船から持ってきた食材を広げて、温めるだけの状態にしておく。早く温めても冷めるだけ、というより馬鹿船長が釣れるだけなので、一応少し物陰に隠してから、少し外を見て回ることにした。
そう大きくもない、漁業ベースの島だった。中心部の繁華街もどこかのんびりとしていて微笑ましい。食材は鮮度がいいのが売りなのだろう、加工していない物が多かった。保存するには船できっちり手を掛けねばならないだろう。サンジはそんな作業も好きだったがしかし普通の主婦はどうするのだろう、と思い尋ねてみると、伝統的な漬物を教えてくれた。どの家にもそれぞれのやり方があるために、店でどうこうしない方が良いのだそうだ。
あっさりしているが深い味わいは、以前にゾロが美味そうにしていた種類の漬物に似ていた。作ったら喜ぶだろうかと、想像するだけでほっこりとした気持ちと同時に少し顔が熱くなる。
とりあえず今日食べる分を買い、雑貨などを扱う店の並ぶ方へと足を伸ばす。補給用はまた今度、ここを発つ前日だ。
サンジが外出した目的は、食材の下見だけではない。むしろこっちがメインなのだが、――ゾロの、プレゼントを探さねばならない。
(とはいえ、あげるったって何を……)
どうにも思いつかない。どうにも思いつかない。可愛い女の子相手ならいざ知らず。
例えば、定番、といってサンジの頭に思い浮かぶのは、
(花束……?)
あの男に、花束。
嫌がらせである。
かといって、他に何を思い付くでもない。
(刀……いや無理だ、下手に口出せねぇし。ピアス……って、アイツ頓着しなさそうだしな。腹巻にジジシャツは、そもそも売ってるのかどうかも怪しい……少なくとも、俺は見たことねェ。)
そんなものを渡すならいっそ、もっと良い服を贈りたいくらいだ。本人が妙にあの格好を気に入っている以上、出番はほとんどないだろうけれど。
そして貧困なサンジの脳はもうネタ切れだ。あまりに情けない、と思う。
仮にもこんなに想う相手のことを、こんなに、知らないなんて。
落ち込みつつ適当に通りを流し見ていた。その時。
「……へェ。」
ふと目に留まったあるものに、サンジは惹き寄せられるように近付いた。
微かに残った頭の隅で冷静に考えれば、大層なものでもなかったのだけれど。
(これ、)
(これだ。)
納得ではなく、降って湧いた直感。
それだけだったが、サンジは値段を確かめもせずに言われた額を支払い、気付くと荷物を抱えて店を出ていた。
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